2022.4.1NEW
新型コロナウイルスの影響で毎日ご不便な生活の中、福島県の食育活動にご尽力いただき、ありがとうございます。
今回は、興味深い研究論文を紹介します。
「新型コロナウイルス」や「インフルエンザ」がうつる(伝染する)のは困りものですが、「幸せ」もうつるという内容の論文です。
この論文は、イギリスの伝統的な医学雑誌 ブリティッシュ メディカル ジャーナル (2008)に掲載されたもので、社会的つながり(ソーシャルネットワーク)の研究で有名なJ.H.ファウラー博士とN.A.クリスタキス博士の共同研究です。
この研究は、1983年から2003年の21年間にわたり、4739人の参加者のソーシャルネットワークを追い続け、幸せがこの大きなソーシャルネットワークの中でどのように広がるかを研究した大規模な縦断研究です。
縦断研究とは、医学分野や社会科学などの研究分野において実施される研究形式の1種で、同一の人などをある期間に亘って繰り返し観察する研究デザインです。ある時点だけで分析する横断研究に比べ、時間的変化も観測されることで、信頼性の高い研究デザインですが、時間と経費、労力がかかるという欠点もあり、なかなか実施されない研究です。
この研究においても、一人の参加者だけを見ても、その人の両親、兄弟、配偶者、子供、孫、友人、職場の同僚、隣人などの近郊住人などかなりの数の社会的つながりがあり、これらのつながりも、出生、死亡、結婚、離婚、転居、転職、新しい友人の出現などで変化すること、さらにこの追跡研究を21年間も続けるという、気の遠くなるような研究です。
主な質問項目は、現在、「将来に希望を感じている」「幸せである」「人生を楽しんでいる」「私はほかの人と比べ同じくらい恵まれている」の4項目でした。
この膨大な研究の結果を要約すると、幸せな人々と幸せでない人々のグループがネットワークの中に存在したが、幸せな人々はつながっている傾向があること。また、ある時点で幸せでない人も幸せな人とつながっていれば、将来的に幸せになる強い傾向があり、幸せが伝染することが分かったということです。
ある人が幸せかどうかは、その人が所属しているソーシャルネットワークの他の人が幸せかどうかで大きく左右されるということが分かりました。
それ以外にもこの研究から分かったこととして、この幸せが伝染する影響は、3つのつながりをまたいで影響があること。すなわち、あなたの友達の友達のそのまた友達までその影響力が観察されたこと。
1マイル(1.6km)内の近くに住んでいる人は、幸せになる確率が遠くに住んでいる人に比べ、25%増えること。
ネットワークの中心に近い人ほど幸せである傾向が強いこと。
幸せの伝染力は同性間で強く、異性間では弱いこと。
などが分かりました。
幸せの決定要因はいろいろあると思いますが、やはり健康であることが幸せを左右する大きな要因であることは言うまでもありません。
これからも健康運動を通じて、周りの皆さんにいっぱい幸せをうつしていっていただきたいと思います。
もちろんご自身が幸せになることが大前提です。
自分自身が幸せになるということは、周りの人々の幸せに貢献できるということだとこの研究論文は言っていると思います。
2021.6.28 伊神孝生
NPO法人福島県食育協会のホームページリニューアルにあたり、数年前に目にした興味深いニュースをご紹介します。
英国 ロンドンの動物園がサルの餌にバナナを与えるのをやめ、野菜中心の餌に切り替えたところ、サルの毛並みや健康状態が良くなり、さらにサル同士のけんかが減り、群れが落ち着いたということでした。
サルの好物というとバナナというイメージが強く、サルとバナナの組み合わせは定番だっただけに不思議な感じがしましたが、内容を知るとなるほどと興味を持った記憶があります。
動物園のサルが餌として貰っていたバナナは、野生のものではなく、人間向けに品種改良されたバナナだったのです。
人間向けに品種改良されたバナナは、野生のものに比べて、糖分が多く、たんぱく質と食物繊維が少ないそうで、これを動物にあげるのはチョコレートやケーキをあげるのに等しいそうです。
品種改良されたバナナは、非常にカロリーが高く、歯に悪い糖分を多く含み、糖尿病などの病気をもたらす可能性があります。またサルの胃は食物繊維豊富な餌を食べるのに適しているため、野生でないバナナは胃腸に問題を起こすおそれもあるようです。
代わりに餌として与えられた野菜は、たんぱく質・食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富でバランスが良いようです。
食べ物によって、身体的に健康になるというだけでなく、精神的にも穏やかになる影響が出ることに、改めて興味が持たれます。
ちなみに野菜に切り替わった餌を与えられているサルたちに、バナナを恋しがる様子は見られないそうです。

